Sunday, October 30, 2011

ぐっさんのペット

ぐっさんの実家ではウェルシュコーギーを飼っているらしく,彼本人もずいぶんとかわいがっていたようだ.ただペットショップで飼ってきたわけではなく,あとで話す事件の最中,助けた犬をそのまま飼っているらしい.

2002年12月3日.
その日は全国的に雨が降っており,もちろん彼の実家のワイルア川付近でも雨が降っていた.
ひどい雨だった.
ぐっさんパパ(ボブ)が日課としている道路でのボーリングをやめたくらいの大雨だった.
大雨のせいでアイルア川が増水し,普段のような穏やかな流れではなく,轟々と音を立てるくらいの流れになっていた.
そのせいか,いろんなものが流れていった.
もちろん,川の近くだったぐっさんの家のものもいくつか流されていた.

流されたものの中に,ぐっさんがペットとして飼っていたチビがいた.
チビはぐっさんが大阪に出張中に見つけた木の枝だ.
ぐっさんは木マニアで,枝を見つけては持って帰ったりしていたのだ.
その中でも,特に気に入ったのが,そのチビだ.
チビのくびれた部分に首輪をつけて,庭に放していた.
風が吹くたびにひゅーっと走り回るチビの様子を喜んで見ていた.
傍から見れば変態だが,彼は走り回る様子を嬉しそうに見ていた.
そのチビが,アイルア川に流されてしまったのだ.

ぐっさんが気が付いた時には,もうチビはどこにいったかわからない状況だった.
ぐっさんは声をからして泣いた.
たかが枝ごときに,泣くなんて相当な変人だと皆が思っていた.

次の日,雨が止み,未だに川の流れは激しいものの,徐々に穏やかになる兆しが見えていた.
ぐっさんはまぶたを腫らしながらも,チビを探しに,川を下流に向かい歩いて行った.
歩いている最中,パパのボブが転がしたボーリングの玉が,道路に泊めていた他人の車にぶつかった音が聞こえた.
その音が聞こえた直後,ドーンと車が爆発した.
周囲のすべてのものが,その爆音に驚いた.
その爆音のせいでふたつの事件が起きた.

ひとつの事件は,ブリーダーに起きた.
近くにブリーダーがおり,爆音によってそこの犬たちが一斉に逃げ出したのだ.
ブリーダーは大慌てで犬たちを追いかけた.
ブリーダーにとっては,外で犬たちを遊ばしているときに爆音が起こるなんて夢にも思っていないことだった.
近くに,ブリーダーの友人でもあるぐっさんがいたので,一緒に追いかけるようにお願いした.
人の良いぐっさんは了承し,一匹のコーギーを追いかけた.

そして,もう一つの事件は銀行で起きた.
近くに銀行があり,その銀行に今まさに強盗が入ろうとした瞬間,車が爆発したのだ.
強盗集団は,おかしな服装で,銀行の扉に体を半分入れたまま,驚いて後ろを見ていた.
その一瞬のせいで,行員が強盗に気付き,防犯ボタンを押していた.
だが,強盗は引くにも引けず,押し切ることを決断した.
そのまま人質を取って,立てこもりを決めた.

立てこもり初めて,数分.
きゃんきゃんきゃんきゃん.
銀行に,一匹のコーギーが飛び込んできた.
同時に,やくざルックのぐっさんが飛び込んできた.
ぐっさんは強盗が入ってるなんて知らなかった.
強盗も,まさかいきなり,やくざルックが入ってくるなんて思ってもみなかった.
しばらく,微妙な空気が流れた.

コーギーは鳴きやまない.
鳴きながら,強盗のもとに走っていく.
強盗がコーギーを捕まえ,ぐっさんと交渉を試みた.

「この犬がほしいなら,俺らのことは放っておいて,出てってくれ!」
「・・・はい」

話は決まった.
ぐっさんは,コーギーを捕まえて,外に出て行った.

ブリーダーにコーギーを渡し,大変だったなぁ,という趣旨の話をした.

ブリーダーは,逃げ出して怪我をして売り物にならない犬の話をし始めた.
かわいそうに思ったぐっさんは,その犬を見せてもらうことにした.

面倒なので,そのあとの話は適当に補ってくれ!
それで,ぐっさんに飼われて,大阪への引っ越しも連れてこれたというベタな展開です.

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